おさらい:Scope3排出量とは
温室効果ガス(GHG)排出量は、一般にScope1(自社の燃料使用等による直接排出)、Scope2(購入した電気・熱の使用に伴う間接排出)、Scope3(それ以外のサプライチェーン全体で生じる間接排出)の3つに分類されます。このうちScope3は、原材料の調達から製品の廃棄に至るまで、自社の事業活動に関連する他社の排出を含む、最も広い範囲をカバーする区分です[1]。
Scope3排出量の算定にあたっては、GHGプロトコルが策定した「Corporate Value Chain (Scope3) Accounting and Reporting Standard」が国際的な基準となっており、日本国内では環境省・経済産業省が「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」を公表しています(2022年3月・ver2.4)[2]。このガイドラインに基づき、Scope3は15のカテゴリに分類され、上流(カテゴリ1〜8)と下流(カテゴリ9〜15)に大別されます[1]。
遊休資産の再利用が関係する主なカテゴリ
GHGプロトコルの分類上、遊休資産の再利用が特に関係すると考えられるのは、次の2つのカテゴリです。
カテゴリの正式な定義や算定方法の詳細は、GHGプロトコル基準および環境省の基本ガイドラインをご参照ください[2]。実際の算定にあたっては、自社の事業内容に即してどのカテゴリが重要(マテリアル)かを個別に判断する必要があります。
削減効果の考え方(参考値)
削減効果の大きさは、資産の種類・状態・調達単価などによって大きく異なるため、一律の数値で語ることはできません。参考として、当社が支援した導入事例をもとにした試算(自社試算・参考値)を紹介します。
この数値は、当社が支援した導入事例における傾向値をもとにした社内試算であり、公的な統計や第三者機関による検証を経たものではありません。資産の種類(什器・機械・IT機器など)や重量、調達価格、輸送距離等の前提条件によって大きく変動する点にご留意ください。自社での正確な算定には、環境省の基本ガイドラインに沿った個別の計算が必要です。
Scope3算定を始める企業が最初にすべきこと
環境省は2025年3月、「1次データを活用したサプライチェーン排出量算定ガイド」(Ver1.0)を新たに公表しました[3]。これは、業界平均などの二次データではなく、サプライヤー等から得られる1次データを活用することで、削減努力がより正確に算定結果へ反映されるようにすることを狙いとしたガイドです。
Scope3算定に不慣れな企業がまず着手しやすいのは、自社が保有する資産や廃棄物の実態を可視化することです。「何を」「どれだけ」保有し、廃棄しているかが分からなければ、削減余地の把握も算定の精緻化も進みません。遊休資産の棚卸し・データ化は、Scope3算定の土台づくりとしても位置づけられます。
まずは遊休資産の可視化から
遊休マーケットは、社内の遊休資産をAIでカタログ化し、削減効果の見える化を支援します。
まとめ
遊休資産の再利用は、Scope3のカテゴリ1(購入した製品・サービス)とカテゴリ5(事業から出る廃棄物)に関連し、新規調達と廃棄の両面で排出削減につながる可能性があります。ただし削減量は資産の性質によって大きく異なるため、正確な把握には自社データに基づく個別の算定が欠かせません。