遊休マーケット コラム
グループ経営・経費削減

物価高の今こそ、グループ企業内での資産循環を-シェアードサービスの次の一手

公開日: 2026-08-27 監修: PAX TOPOLOGY株式会社 事業開発部 想定読了時間: 約7分

原材料・エネルギー価格の上昇を背景に、企業間取引でも価格転嫁が進んでいます。人件費や間接業務はシェアードサービスで効率化が進んできた一方、グループ会社が保有する「モノ」の共有には、まだ手がついていないケースが多いのではないでしょうか。

物価高が企業のコスト構造に与える影響

日本銀行が2026年7月に公表した「経済・物価情勢の展望」によれば、消費者物価(除く生鮮食品)は1%台半ばの水準で推移しており、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続く中、エネルギー価格の上昇もみられるとされています[1]。さらに、原油価格の上昇やAI関連需要による半導体価格の上昇、円安の影響から、2026年度後半以降は物価上昇率が2%をはっきりと上回る水準まで高まっていくと見込まれています[1]

同展望では、原油高を起点とした企業間取引における価格転嫁が比較的速いペースで進んでおり、これが今後、消費者段階の幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性が高いとも指摘されています[1]。企業にとっては、原材料や設備・什器の新規調達コストが上昇していく局面が続くと考えられます。

シェアードサービスが効率化してきたもの

複数の企業からなるグループでは、経理・人事・総務・情報システムといった間接業務を1カ所に集約する「シェアードサービス」がコスト削減の手法として定着してきました。実際に、日産クリエイティブサービスでは業務時間の4割削減、東京電力では年間2億7,000万円のコスト削減といった成果が紹介されています[2]

これらの取り組みは主に、給与計算や社会保険手続き、経理・財務業務といった「業務(コト)」の集約に焦点が当てられてきました[2]

「モノ」の共有という次の一手

私たちが着目しているのは、こうしたシェアードサービスの対象になりにくかった「モノ」-什器、設備、機材、資材といった現物資産の共有です。グループ会社がそれぞれ別の拠点で事業を行っている場合、A社で使われずに眠っている什器と同じものを、B社が新品で調達しているという状況は珍しくありません。

物価高だからこそ意味が増す理由
新規調達の単価そのものが上昇している局面では、「新たに買う」前に「グループ内にある既存の資産で代替できないか」を確認することの経済合理性が、これまで以上に高まります。

これは、以前ご紹介した「社内充足率(新規購買のうち社内在庫で代替できた割合)」という考え方を、単一法人内の部署間から、グループ会社間へと広げる発想でもあります。

導入する際に押さえておきたい点

グループ会社間での資産融通は、同一法人内の部署間融通と異なり、それぞれが独立した法人格を持つ点に注意が必要です。

確認しておきたいポイント
  • 資産の所有権・帳簿上の扱いをどう整理するか(資産の移管か、貸与か)
  • 無償または市場価格から著しく乖離した価格での資産の授受は、税務上「寄附金」等として扱われる可能性があるため、グループ内取引の価格設定について税理士等の専門家に確認すること
  • グループ内融通のルール(誰が承認するか、記録をどう残すか)をあらかじめ定めておくこと

本記事は法務・税務上の助言を目的としたものではありません。実際の制度設計にあたっては、税理士・会計士等の専門家にご相談ください。

グループ会社の資産、まずは全体像の可視化から

遊休マーケットは、複数拠点・複数法人にまたがる資産の状況を一元的に可視化するプラットフォームです。

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まとめ

物価高によって新規調達コストが上昇する局面では、グループ会社内に眠る資産を可視化し、循環させることの経済的な意味がこれまで以上に大きくなります。シェアードサービスが「業務」の効率化を進めてきたように、次は「モノ」の共有をグループ経営のアジェンダに加える価値があると考えています。

本記事は2026年8月時点の公開情報に基づく一般的な解説です。物価見通しは日本銀行の公表資料に基づきますが、将来の経済情勢を保証するものではありません。グループ内取引の税務・会計上の取り扱いについては、専門家にご確認ください。

参考情報源

  1. [1] 日本銀行「経済・物価情勢の展望」(2026年7月)
  2. [2] カオナビ人事用語集「シェアードサービスとは?」
PAX TOPOLOGY株式会社 事業開発部
遊休マーケット(uq-market)運営元。企業の遊休資産循環を支援するB2Bサーキュラーエコノミープラットフォームを提供。